放香器に使用したケースは、100円ショップで購入したスチロール樹脂製の小物入れで、大きさが147mm×89mm×79mmの上が斜めになった、次の写真のようなものです。内側に紙製の箱が入っていますが、それは使用しません。
写真でもわかるように、この小物入れは中央に仕切り板が立っています。ここには芳香剤を置く上板をつけるので、下図に示す方法で高さ40mmを残して切り取ります。
下記に穴あけなどケースのその他の加工寸法を示します。
・プラスチックケースの加工寸法図
スチロール樹脂に限ったことではないですが、切断個所にはヤスリをかけて、できるだけ滑らかにしておきます。それは次に説明する樹脂部品の製作でも同じです。
ケースの加工で、もしヤスリやノコギリが当たってケースを傷つけそうな場合は、当たりそうなところにマスキングテープなどを貼っておくと良いです。
8.樹脂部品の製作
芳香剤を乗せる上板やファンを取り付ける部材などは、次の写真に示すスチロール樹脂製の小物入れから切り出して製作します。この小物入れはケースに使用したものと同じシリーズのもので、100円ショップで購入しました。同じように紙製の箱が入っていて、大きさは269mm×100mm×27mmです。これ1つですべての樹脂部品が製作できます。
下記に上板および樹脂部品の寸法図を示します。小物入れから樹脂部品の切り出しは、樹脂用ノコギリまたは金属用の金切りノコで行います。スチロール樹脂は欠けやすいので、加工には注意が必要です。
・上板の寸法図
・樹脂部品の寸法図
L型の部品は小物入れの角の部分を利用して製作するので、平らな部分を曲げて作るということではありません。
次の写真は、小物入れから切り出して製作した樹脂部品です。
注意:このスチロール樹脂製の小物入れの角の部分は、必ずしも直角ではありません。
9.ケースの組み立て
下図に、切り出した樹脂部品のケースへの取り付け方を示します。それぞれの部品の位置は下記を見てください。
・人感センサーとファンの取り付け方法
これらの図に示す樹脂部品は全て接着剤で接着します(矢印で示す網掛け部分)。接着剤はスチロール樹脂を接着できるもので、下の写真のものを使いました。
使用した接着剤
左の写真は全ての樹脂部品を接着したところです。その後接着剤が乾いたら、上板とケースを塗装します。
左の 写真は塗装したケースです。ケース内部は見える部分だけで良いのですが、マスキングも面倒なので全体を塗装しました。
塗料は樹脂に使用できるもの、特にスチロールに使用できるものを使います。筆者は樹脂に塗装可能な水性スプレーを使いました。
10.組み立て塗料は樹脂に使用できるもの、特にスチロールに使用できるものを使います。筆者は樹脂に塗装可能な水性スプレーを使いました。
まず、ファンを取り付けます。ファンは黒リード線が短かったので継ぎ足して、ピンソケットをハンダ付けします。ハンダ付けした部分は熱収縮チューブを被せて保護します。
ファンの取り付け方向は、側面にも書かれていますが、銘板が貼ってある方が吹き出す方向、つまり上になります。先に示した図にあるようにビスとナットで固定するのですが、(F,G)ファン固定板1,2が接着済みなので固定は容易ではありません。製作する人は、穴径をφ2.3mmくらいに変更して、2.6×16のタッピングビスで固定するように変更した方が良いと思います。
人感センサーは、下図に示すように、樹脂部品のひとつである(E)人感センサー固定板にM2×6mmのビスとナットで取り付けます。
左の写真は実際に取り付けた様子です。このとき、レンズ側から見て右側のナットが基板の回路パターンに触れてしまうので、図にあるように樹脂ワッシャを入れて絶縁します。この樹脂ワッシャは樹脂シートで手作りしました。
次の写真はすべての部品を実装し、配線も行った内部の様子です。基板は、写真のようにファンの間に3×6mmナベ・タッピングビスで固定します。バッテリーホルダーは写真に見える位置に納めます。ただ、このままではガタつきがあるので、実際にはケース側にスポンジを入れています。
最後に下図のように上板を取り付ければ組み立て終わりです。よりきれいに見せるため、上板を固定するビスは、頭の部分をケースと同じ白色に塗装しています。
11.仕上げ
底面には左の写真のように、滑り止めも兼ねて貼付けタイプのゴム足を付けます。
ちなみに、底面から人感センサーのON時間(Tx)および感度(Sx)が調整できるようになっているので、使用場所に応じてこれらを設定します。
ちなみに、底面から人感センサーのON時間(Tx)および感度(Sx)が調整できるようになっているので、使用場所に応じてこれらを設定します。
左の写真のように、電源スイッチにON/OFFを示すレタリングを入れます。写真は、レタリングの保護のために上から透明フィルムを貼っています。
文字入れにはインスタント・レタリング(転写文字)を使用しましたが、最近は入手が難しいので、ラベルライターで作成した文字シールでも良いと思います。
電源スイッチとして、穴加工が容易なトグルスイッチを使いましたが、このような装置にトグルスイッチは選定ミスだったかもしれません。
文字入れにはインスタント・レタリング(転写文字)を使用しましたが、最近は入手が難しいので、ラベルライターで作成した文字シールでも良いと思います。
電源スイッチとして、穴加工が容易なトグルスイッチを使いましたが、このような装置にトグルスイッチは選定ミスだったかもしれません。
次の写真が完成した放香器です(上に載っている芳香剤はひとつの例です)。
【参考】タッピングビスについて
今回の製作では、ケースや樹脂部品にねじを切らずに容易に組み立てられるように、接着剤とタッピングビスを使用しました。
タッピングビスは「タッピンねじ」とも呼ばれ、穴に雌ねじを作っておかなくても締め付けができるビス(=小ねじ)のことです。これを使うと組み立てを容易にすることができます。ただし、材質や厚みによっては使用できなかったり、頻繁に取り外したりする部分には適さないなど、いくつか短所もあります。
今回使用したタッピングビスは、B形といわれる先端が平らな形状のもので、「二種」とも呼ばれています。B形にはB0形とB1形があり、B1形には先端に溝がありますが、B0形にはありません。B0形は単にねじ込むのに対し、B1形はねじを切りながら締めるので、できればB1形を使いたいのですが、ホームセンターなどでは入手が難しいようです。
ちなみに、先端が尖っている形状のタッピングビスはA形(一種)といわれるもので、ホームセンターでも多くのサイズが扱われています。
ホームセンターではB0形も取り扱いは少ないようですが、店によってB0形タッピングビスをプラスチック用ビスとして売っている場合があります。
なお、最近はネットショップが発達しているので、ネットショップを使えばほとんどのビスが購入できるでしょう。ただし、10本や20本では販売してくれないショップもあるので注意が必要です。