一般にLEDを使ったイルミネーションでは、個々のLEDを常時点灯するか点滅させる、あるいは色を変化させるなどの方法で点灯させています。
点滅は“チカチカ”ともいわれますが、キラキラを表現していると言ってもいいかもしれません。しかしキラキラは、チカチカよりも輝いている表現に感じますし、光に点滅以外の動きもあるように思います。
カメラ用にクロスフィルターというものがあり、撮影した写真にキラキラの効果を与えることができます。しかしこれはフィルター越しのことであり、実際に被写体がキラキラしているわけではありません。
次の図は、筆者が考えるキラキラの光り方イメージです。つまり、光源から光が狭い放射状(できれば筋状)に複数広がり、その放射状の光が光源を中心に動くというものです。動くとは、光源を中心にした回転することや扇状に動くことですが、動きながら点滅することも有りです。
ここで言うキラキラのイメージ
2.製作したイルミネーション
下の写真は、製作したイルミネーションです。前面に2つ飛び出したところがありますが、ここが放射状に発光する部分です。その光がケースの白い面に反射して回転し、キラキラ見えるという構造になっています。
右の写真は内部の様子で、反射板を動かすギヤボックスやモーターなどが見えます。
外観 内部
光を放射状に広げて動かす方法は、モーターによって機械的に動く四角錐の反射板を使って光を回転させるというものです。原理的には、小型化した回転灯やミラーボールのようなものと考えればいいと思います。
また、このイルミネーションは、赤外線リモコンの信号※を受信することによって、一定時間(数秒間)動作するようになっています。と言っても、リモコン信号の解析つまりデコードをしているわけではないので、信号の種類を問わず反応するだけです。
※赤外線リモコンの信号は、一般的な38kHz前後のキャリアを使ったものです。
3.回路とその動作
下記に、イルミネーションの回路図を示します。
・キラキラ・イルミネーションの回路図
動作を簡単に説明します。
赤外線リモコン受信モジュール(TSOP32138)でリモコン信号を受信すると、LMC555によるタイマー(=単安定マルチ回路)により、おおよそ2秒~5秒(VRの調整による)のパルスが作られます。ここでは、そのパルスを駆動信号と呼ぶことにします。駆動信号は動作の基本信号で、ON(=High)の間だけLEDが点灯または点滅し、また光が回転するようになっています。
ギヤボックスのモーターは、モータードライバーIC(TA7291S)で駆動しますが、その前段にF/F(=フリップ・フロップ74HC74)を入れて、駆動信号が入るたびに回転方向が変わるようにしています。
TA7291SのVS端子(6ピン)にあるダイオード(10EDB40)は、その順方向電圧VFを利用してモーターに加わる電圧を定格電圧である3V近くまで落とすためのものです。実測では、VCC=4.5Vのとき駆動時のVS端子は約2.8Vになっていました。
もう一つのLMC555は発信回路(=無安定マルチ回路)として動作し、約6Hzを作っています。6Hzの出力は次段のF/F(74HC74)で1/2され、約3HzのLED点滅パルスとなります。ただし、この信号を使ってLEDを点滅させるかどうかはジャンパーピン(JP1,JP2)の設定によって決まります。
ジャンパーピンを開放していると点滅せず、駆動信号がONの間は点灯したままです。中央とA側またはB側をショートすると駆動信号がONの間点滅となります。このとき、JP1,JP2でA,B異なる方をショートすることによって、2つのLEDを交互に点滅させることもできます。
今回使用した赤外線リモコン受信モジュール(TSOP32138)は感度が高く、特にシールドもしていないので周囲のノイズを拾ってしまうことがあります。リモコンとして使うなら出力信号を解析するので誤動作は防げますが、このイルミネーションでは出力信号をそのまま使っているので誤動作することがあります。もう少し感度の低い受信モジュールを使うか、前面にフィルムなどを貼って感度を落とすべきだったかもしれません。
4.制御基板の製作
次の写真は製作した制御基板です。1/10インチピッチのユニバーサル基板を使い、大きさは82×44mmです。
2つのスイッチと赤外線リモコン受信モジュールの位置は、後ほど説明するケースの穴位置に合うようになっています。