作品紹介
音声時計の製作(3)
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音声時計の製作(フルカラー・デジタル時計の機能アップ)続きです。
8.ユーザー定義音声データ作成支援機能

(1)必要なもの

 パソコンとRS-232ケーブル、ターミナルソフトが必要です。
 下図にRS-232ケーブルの接続図を示します。一般に市販されているものではないので、自作する必要があります。
RS-232ケーブルの接続説明
 パソコンにRS-232シリアルポートがなくても、USBポートとUSB~シリアル(RS-232)変換ケーブルがあれば問題ありません。
 次の写真は、制御基板にRS-232ケーブルを差し込んでみたところですが、スピーカの位置と重なってしまったため、スピーカを外して接続しています。
RS-232ケーブルの接続例
 ターミナルソフトは、シリアルポートを使って送受信できる一般的なものなら何でもよいと思います。
 次の画面は、ターミナルソフトTeraTermを使った場合の画面です。起動すると接続設定を求めてくるので、このように「シリアルポート」を選択し、使用するシリアルポートの番号(COM~)を選択します。
TeraTermのポート設定
 次に、メニューバーから「設定」→「端末」を開き、「ローカルエコー」にチェックを入れます(下記画面)。ローカルエコーとは、パソコンのキーボードから入力した文字をそのまま画面に表示することで、デジタル時計が受信した文字をエコーバックしてこないので必要な設定です。
TeraTermの端末設定
 通信設定は、下記の設定が必要です。
 メニューバーから「設定」→「シリアルポート設定」を開いて確認し、異なっていたら変更する必要があります。

(2)キー入力の注意点

 ターミナルソフトを使ってキー入力された文字は、入力の都度デジタル時計に送られます。つまり、Enterキー(復帰キー)を押してから送信するチャットのようなものとは異なります。
 したがって、画面上でカーソルを移動して文字を削除したり修正したりすることはできません。入力文字を間違った場合は、BS(BackSpace)キーで1文字ずつ遡って入力しなおします。

(3)コマンドについて

 コマンドは、プロンプト">" が表示されているときに入力して、最後にEnterキーを押すことで実行されます。もしプロンプトが表示されていない場合は、Enterキーを何度か押せば表示されます。
 次の画面はHELPコマンドを入力した例で、使用できるコマンドの一覧が表示されたところです。
 コマンドそのものは大文字・小文字を区別しませんが、コマンドの後ろに何かパラメータがある場合、パラメータの大文字・小文字は区別する場合があります。
HELPコマンドの実行例

(4)SPEAKコマンドと独自タグ

 SPEAKに続いてローマ字でテキストを入力すると、それを音声として発声します。これは、ユーザー定義の音声データを作るとき、実際に音声を聞いてアクセントなどを確認するために使用します。
 アクセントなどを指定する記号や、数値やアルファベットを読み上げるタグもテキスト中に指定できます。ローマ字の表記方法や、記号やタグの使い方についてはATP3011F4-PUのデータシートを参照ください。
 一度に入力できるテキストの長さは、最後のEnterを含めて127文字(127バイト)です。ATP3011F4-PUとしては128バイトまでとなっていますが、デジタル時計の内部処理の都合で127バイトまでとしています。
注:音声合成IC ATP3011F4-PUの応答を得るようなコマンドは使用できません。
 次の画面は使用例です。
 テキスト"konnichiwa."は、“こんにちは”と発声します。
 テキスト"kyo’wa,<D1>de_su."は、“今日はMM月DD日WW曜日です”と現在日付を発声します。"<D1>"の部分は独自タグで、"<NUMK VAL=MM COUNTER=gatu>,<NUMK VAL=DD COUNTER=nichi>,WWyo'-bi"のように、正規のタグを使ったテキストに変換されます。
 独自タグを使ったテキストは短くても、変換した後に127文字を超える場合は、超える部分の独自タグは変換されずに削除されるので注意が必要です。もうひとつ注意として、チャイム音JおよびKは単独使用専用のため、"#J,konnichiwa."などのようにほかのテキストと一緒に使うことはできません。
 SPEAKコマンドで入力したテキストはメモリーに一時保存されます。そのため、以降はSPEAKと入力するだけで、直前のテキストを発声することができます。
 独自タグには次のものがあります。
===== ATP3011F4-PUのコマンド概要(参考)  =====

注:これは参考です、正確な仕様はATP3011F4-PUのデータシートをご覧ください。

(5)EEPROM関連コマンド

■WRITEコマンド
 WRITE n(n=1~5)で、SPEAKコマンドでメモリーに一時保存されているテキストを、音声データとしてEEPROMのブロックn番に書き込み保存します。すでに音声データが保存されている場合は、上書きされます。
 EEPROMに保存された音声データは、表4にあるようにアラーム,タイマー,アラーム2の作動時の警報音として使用できます。EEPROMに保存された音声データは、電源をOFFしても消えません。

■READコマンド
 READ n(n=1~5)で、EEPROMのブロックn番にある音声データをメモリーに読み込みます。
 読み込んだ音声データは、SPEAKコマンドで発声できます。

■ERASEコマンド
 ERASE n(n=1~5)で、EEPROMのブロックn番にある音声データを消去します。

■LISTコマンド
 LISTで、EEPROMのブロック1~5番に保存されている音声データを順に表示します。LIST n(n=1~5)とすると、ブロックnに保存されている音声データのみを表示します。

(6)その他のコマンド

■EXPANDコマンド
 独自タグを使った場合、実際どのように変換されたか確認できるように、展開されたテキストを表示することができます。
 EXPAND ONを実行すると、下記の画面例のように、元のテキストの次の行に"exp:"に続いて展開されたテキストを表示します。
 EXPAND OFFを実行すると、展開したテキストは表示しません(初期状態)。

■PHRASEコマンド
 アラーム,タイマー,アラーム2の作動時の警報音として使用できるものの中で、設定値5~25の音声合成による警報音(音声)を発声します。
 ただし、表4にあるように、例えば設定値5のチャイム音Jを鳴らす場合はPHRASE 0というように、同表の定型句番にある0~20の番号で指定します。メロディは再生できません。
 定型句番16~20は、ユーザー定義の音声データで、WRITEコマンドで保存したEEPROMブロック1~5番のデータです。

■NAMEコマンド
 デジタル時計の名称を"FullColorLED DigitalClock (Ver.3.5)"と表示します。

■TIMEコマンド
 TIMEのみで現在日時と曜日を表示し、TIME YYYY.MM.DD-hh:mmとすると日時を設定できます。なお、曜日は日時設定時に自動計算されるので入力できません。
 "YYYY.MM.DD-hh:mm"は「西暦年.月.日ー時:分」を意味します。


9.プログラムを差し上げます

 もし、このフルカラー・デジタル時計を機能アップした音声時計を製作したいという人がいれば、希望する人にプログラムファイル(ロードモジュール"○○○.mot"のみ)を無料で差し上げます。簡単な自己紹介を書いて こちら からメールで問い合わせてください。
 ただし、このプログラムファイル進呈は、予告なく終了させていただくことがあります。なお、このプログラムは、音声基板のない元のフルカラー・デジタル時計では使用できません。
注意:このプログラムを使用して、何か問題や不利益が生じることがあったとしても一切関知しません。

 プログラムをマイコンRX220に書き込む方法は、「フルカラー・デジタル時計の製作」にも書かれていますが、次のどちらかの方法でパソコンから書き込みます。
 ・E1エミュレータで書き込む
 ・シリアルポートから書き込む
 筆者は、Renesas Flash Programmerという書き込みソフトを使いました。このソフトは、ルネサスエレクトロニクスのホームページから無償版がダウンロードできます。
 E1エミュレータで書き込む場合は「シングルチップモード」でかまいませんが、シリアルポートから書き込む場合は、RX220マイコンボードを「ブートモード」で起動する必要があります。秋月電子通商のRX220マイコンボードは、ボード上のディップスイッチ(SW1,SW2)を両方ONにして起動するとブートモードになります。また、シリアルポートから書き込む場合は、別途シリアルケーブルが必要です。


10.プリント基板を差し上げます

 もし、このフルカラー・デジタル時計を機能アップした音声時計を製作してみたいという、電子工作を趣味にする人がいれば、希望する人にプリント基板(部品は付属しません)を無料で差し上げます。簡単な自己紹介を書いて こちら からメールで問い合わせてください。ただし、下記に同意いただける人に限らせていただきます。
 このプリント基板は、筆者個人が作成したもので数が少ないため、差し上げられない場合もあります。また、このプリント基板進呈は予告なく終了させていただく場合があります。
 このプリント基板は、音声機能付きフルカラー・デジタル時計の基板ではありますが、他の機器の製作にも使用できる可能性もあります。なので、時計以外の製作も歓迎です。
 「フルカラー・デジタル時計の製作」で紹介した、7セグメント表示器を手作りする表示基板(部品は付属しません)も数枚ありますので、希望する人は同様にメールで問い合わせてください(差し上げる条件は前記と同じです)。こちらも数に限りがあるので、差し上げられない場合もあります。

 付け加えます、プリント基板を希望するメールには住所(送付先)は書かないでください。基板を進呈可能の場合、その旨の返信をしますので、その後に送付先をメールで送ってください。教えていただいた住所は、基板を発送する目的にのみ使用します。
 なお、基板の送付は送料着払いとさせていただきます。
注意:このプリント基板を使用して、何か問題や不利益が生じることがあったとしても一切関知しません。

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■■■ 注 意 ■■■
1.ここに掲載された内容(写真,図,表などを含む)の、全てまたは一部を無断で使用しないでください。
2.ここで紹介した手法(構造や仕組み,回路,プログラムなどを含む)を使用したことにより、問題や不利益が発生したとしても一切関知しません。
3.ここで紹介したプログラム例は、正常なコンパイルおよび正常な動作を保証するものではありません。